現代総有研究所について

現代総有研究所設立宣言

 

 
 
 現在日本は重い病気にかかっている。それは「物質的豊かさ」の下で、人々が幸福になるどころか、反対に一人一人の人間が、個化(孤立、孤独、疎外、引きこもり)し始めたということである。日本社会における2000年以降の少子・高齢化時代の到来は、この傾向を更に促進させるであろう。
 この現象は各人の個人的な状況にとどまらず、若者を含めた一人暮らしの増大、九州全土を超えるという空き地、800万戸を超える空き室の発生、そして無縁社会の出現などなど社社会にも深く関係する問題となり、今や2040年までには、実に日本の自治体の半分に当たる800の自治体が消滅するなどと予測されている。このような現象がこのまま進行すれば、まもなく「国全体の崩壊」として帰結していくであろう。
 いうまでもなく、人は一人では生きられず、死ぬことも一人ではできない。人々は、相互に助け、励まし、切磋琢磨し、愛し、尊敬しあってこそ始めて、安全で安心な、かつ豊かで充実した人生を送ることができるのである。
 現代総有は、このような個化社会の到来の中で、新しい「絆」(結びつき、協働、連帯、団結など)を構築するための理論と実践を提案する。
 個化は、人々の間に「心のつながり」「空間的や地域とのつながり」さらには「自然・文化・歴史そして神などとのつながり」を切断されることによって人工的に造り出された。私たちは、その根源に土地・建物の個別の所有と利用があると考えている。そこでこの個人所有をいったん棚に上げ(個人所有は維持するが)て、それらを共同利用(借地あるいは借家)しながら、みんなが家族や友達と同じように一緒に住み・働き、かつ楽しみ、その利益を参加者全員で享受するほか、ひいては地域全体に還元していくという社会を築き上げていきたい。これが「現代総有」の理念である。
 そのためには、このようなつながりを阻害している、プライバシー確保の大義名分のもと細かにかつ厳重に分断された建築空間、自然を破壊し、画一的なコンクリートの塊を生み出す公共事業、さらには、閉じ込められた情報化社会、情報公開や参加自治を拒む法制度、お任せ民主主義と生気のない政治、気まぐれな世界市場に振りまわされるままの経済、さらにはそれらすべての前提となる問題意識の欠けた教育などなどの一切を、現代総有の観点から根底的に見直し、点検し、再構築しなければならない。その時が来た。
 そのための拠点としてここに「現代総有研究所」を創設する。
                      

2018年初夏           
現代総有研究所所長 
五十嵐 敬喜
 

現代総有とは
 
 「現代総有」とは、土地や建物について、全員で所有し利用し、その利益を全員あるいは地域に還元しようというものである。これは所有も利用もすべて自分で決定し、その利益は独占するという個人所有とも、それぞれが持ち分権を持ちその所有や利用につても持ち分に応じて決定し、その利益も持分権に応じて配分するという共有とも異なる。総有は複数人が関係するという意味では共有と共通するが、持分権(その延長としての分割請求)は認めないという意味では本質的に異なっている。これまで総有は外国では「コモンズ」、日本では入会権や温泉権などとして認められてきたが、これらはどちらかといえば、都市型社会以前の土地利用形態である。現代総有はこのような土地・空間にかかわる利用形態を現代都市に導入(認知)しようというものである。その理念と権利論は所有権という呪縛から都市住民を解放し、都市住民の孤立と対峙して連帯と協働を推し進めるであろう。さらに現代総有は土地や建物といった不動産だけでなく、情報や金融あるいは保険などのシステム、さらには「心」についても広く適応・応用されうる概念として、構想されている。 
 

 

事業

 
1、現代総有に関する研究
2、現代総有に関する国際交流
3、現代総有にかかわる事例調査、受託調査
4、現代総有にかかわる研究、実践活動に対する表彰
5、現代総有に関する会報、出版、投稿、広報
6、現代総有についての実践
7、定例研究会(原則各月)
8、現代総有に関するシンポジウム
9、現代総有学会の設立を目指す
10、その他、第1 項から第9 項に関連する事業

 

組織構成

 

①研究員

現代総有研究所には研究員を置く。
研究員は所長が任命する。
研究員は、現代総有に関連する研究を行い、定例研究会に出席し研究の状況を報告する。
研究員は、原則的に年1 回は会報、ホームページに論文を執筆する

 
②事務局

研究員から事務局長、副事務局長、会計広報を所長が任命する。
 

③研究所総会

  1. 所長は、毎年7月に研究所総会を開催する。
  2. 研究所総会では、以下の事項を出席者(委任を含む)の過半により決定する。

1) 所長の選任
2) 事務局員の選任
3) 事業計画(初年度は、設立後適切な時期に策定する)
4) 決算、予算(初年度は、設立後適切な時期に策定する)
5) その他
 但し、設立時においては、研究員の選定、所長の選任、事務局の選任は、設立に携わったメンバーにより決定する。
3. 所長は、臨時総会を開催することができる。なお、3 名以上の所員から開催請求があったときは、臨時総会を開催しなければならない。
 

④客員研究員

  1. 現代総有研究所には客員研究員を置くことができる。
  2. 任期は2 年とし、再任を妨げない。
  3. 客員研究員は所長が任命する。任期の途中において、研究所の趣旨に反した行為を行ったと所長が認めるときは、罷免することができる。そのときは、所長は、本人の弁明を聴く機会を設けなければならない。
  4. 客員研究員は、現代総有に関連する研究を行い、所長の認めるところにより定例研究会に出席することができる。
  5. 客員研究員は、所長の認めるところにより会報、ホームページに論文を執筆することができる。

 

⑤現代総有研究会

  1. 現代総有研究所に現代総有に関心を持つ市民、研究者等のプラットフォームとして現代総有研究会を設ける。
  2. 現代総有研究会には、会員を置く。所長が現代総有の趣旨に賛同すると認めた者を会員とする。
  3. 会員は、個人会員年会費5,000 円、団体会員年会費20,000 円を会費として現代総有研究所に支払う(毎年7 月1日付徴収)。
  4. 会員は、所が開催する研究会等に参加することができる。また、所の求めて応じて会報に論文を投稿することができる。
  5. なお、その場合、論文の内容については、所長及び所の研究員が査読し必要な修正を求めることがある。
  6. 会員が、会の趣旨に反する行為を行った場合、会の名誉を著しく損なう行為を行った場合、所長は退会させることができる。
  7. そのときは、所長は、本人の弁明を聴く機会を設けなければならない。
 

運営

 

①研究所会議

  1. 研究員により定例会議を開催する。
  2. 研究所の活用及び会計について協議する。
  3. 定例会の議長は所長が当たる。
  4. 客員研究員は定例会議に出席し発言することができる。ただし、所長の許可を要する。

 

②事務局会議

  1. 会の日常的運営について事務局会議を開催する。
  2. 事務局会議は、正副事務局長、会計・広報担当が出席する。なお、必要に応じて研究員を出席させることができる。

 

③会計

  1. 会計年度  毎年7 月1日〜翌6 月31日
  2. 年会費   5,000 円/ 個人会員 20,000 円/ 団体会員

 
④特別会計

特定の事業を行うため特別会計を編成することができる。
 

⑤表彰

  1. 「現代総有賞」を設ける。
  2. 隔年で一団体又は一個人を表彰する。
  3. 審査委員会を設ける。審査委員は、所の協議の上、所長が任命する。表彰は合議の上、決定する。
  4. 「現代総有賞」特別基金を特別会計として設ける。

 

第一期(2018年度)

 

①設立

2018620
 

②体制

以下、研究所設立メンバー(五十嵐、野口、上村、渡辺、竹野)により決定する。
 
所   長●五十嵐敬喜
事 務 局 長●野口和雄
副事務局長●渡辺勝一  
副事務局長●竹野克己 
会計・広報●上村千寿子
会報・年報編集●菅谷直子
 

③事業計画

1、現代総有に関する研究    
  不明土地法等近年の都市法研究、散居に関する研究
2、現代総有に関する国際交流
 韓国SSK研究団を迎え東北学院大学と共催で8月に東北被災地視察及び仙台でシンポジウム開催
3、現代総有にかかわる事例調査、受託調査 
 研究費補助事業の取得を目指す。具体の地域で実践的検討、事例調査を行う。
4、現代総有にかかわる研究、実践活動に対する表彰 
 表彰制度を検討する。
5、現代総有に関する会報、年報を発行するとともに、出版、投稿、広報を行う。 
 隔月で会報の発行を目指す。また、年報を発行する。
6、現代総有についての実践 
7、定例研究会(原則各月) 開催する
8、現代総有に関するシンポジム
 7月15日に設立記念行事として開催する。他団体が行うシンポジウム等を必要に応じて共催、支援を行う。
9、その他関連する事業
 

④予算

 10月まにでに予算を確定する。
 

⑤特別会計

 「現代総有賞」基金を設ける。
 
 
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■会費等振込口座
振込銀行名 : 世田谷信用金庫 本店  普通預金口座:0767951
口 座 名 : ゲンダイソウユウケンキュウジョ